入会のご挨拶 伊豆野 眸会員

写真は芸術ではありません。あくまで写真は写真です。写真に言葉は必要ありません。言葉で説明できるのであれば、写真である必要がないからです。
また、表現(=expression)でもありません。あくまで痕跡(=impression)でしかないと考えています。そこには進歩的な思想も、アポロ的な調和の美も見出す必要がありません。他に置換されないフォルムが確かに成立しているにも関わらず、不自然な文脈を持たせようと這い上がる言語に席を譲る必要はありません。
わたしたちは、言葉で説明しがたい原始的な感覚を知っています。瞬間的な忌避の念と共存する、絶え間なく皮膚を揺さぶる生への執着です。それらの痕跡を定着させようとする方法を写真に見ています。
言語の箱庭より外界に出て、はじめて写真は知覚の術となりうると考えます。

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